リビングストンの馬小屋

2011年11月2日水曜日(原文のまま)

来月、久しぶりに、北米で開催される、専門分野のみのmeeting(RB meeting)に出る。写真は、筆者がポスドク時代に参加した、Colrain meetingと呼ばれている集まり。これは、業界ではちょっと有名な集まりで、Bob Weinberg, David Livingston, Ed HarlowおよびPeter Howley博士のもとを巣立って独立したPIとそのポスドク(各ラボ2名まで)たちが、2泊3日で、延々と話をする会である。 マサチューセッツ州の真ん中辺りにあるDavid Livingston先生の奥さんのお父さん(だったっけ)の農場にあるもと馬小屋だった建物でで行われるので、「リビングストンの馬小屋のmeeting」ともよばれる。また、交わされる議論の厳しいことから、Cold Rain Meetingと読み替えるひともいた。日本を出てボストンに行く時、私のメンターから、いつかこのmeetingに出られるようになれと背中を押してもらった記憶がある。幸運にも、3度このmeetingで話をすることができた。この時に会ったPIやポスドクが、今度の北米での会にも何人も出てくるはずで、懐かしくなって、写真をとりだしてきた。この会では、大きなテントを張って、全員で食事をするのだが、上記の4大PIたちが料理から給仕まで全部する。軽口をたたきながら、Weinberg先生から、私のお皿にジャンバラヤ(ちょっと辛すぎた)を入れてもらったことをよく覚えている。彼らは、言うまでもなく、RB研究を中心に、世界のがん研究を牽引してきたグループである。このmeetingに参加して感じたのは、彼らが、研究上の利害よりも、ごく個人的な関係によって結ばれていることで、その様態はほとんどマフィアあるいは「だち」と言って良い。参加費も、どっから出るのかは知らないが、取られなかったように思う。日本では、このごろ、グラントを単位とした、いわば官製デザインのコンソーシアム型研究集団が盛んにつくられているのであるが、はたしてそいうことで研究者どおしの面白い関係は醸成されるのだろうか。この組み合わせがいいとかわるいかとか、時々、おおきなお世話だと思うこともある。一方で、昔の研究者集団が、お友達グループと批判されてきた理由もなんとなくわかる。どうやったら、ボストンの連中みたいな、超強力で長続きするな研究グループが出来るんだろう。少なくとも、マフィアのボスが強力な求心力を持たねば成り立たないだろうし、子分のPIったて、独立すればライバルにもなるのだから、そういうことを凌駕する力と寛容さが大ボスの側に必要なのだろう。そういう先生も日本には少なからずいると思うが、定年を迎えた途端に、関係が消えるということもままあるのだろう。さて、この度のmeetingは、もはやボストングループの一員としてではなく、日本から来た名も知らぬ研究者として乗り込む。半分近くの出席者がボストングループのようである。ちょっとだけ緊張している。

集合写真:Weinberg先生、Livingston先生、Harlow先生、Howley先生、筆者の師匠のEwen先生、低酸素でノーベル賞を受賞したKaelin先生もいる。ほかにも多士済々。

投稿者: 髙橋 智聡

ピアノを50年以上弾いている。芸事が大好きで、ほかに、茶道、義太夫三味線、能管、ドイツリートなどいろいろ手を出したが、すべて下手の横好きだった。西洋の古典音楽と日本の文楽をこよなく愛する。この15年ほど、夏山行にはまっているが、太ってしまったのと、まとまった時間がとれないのが悩み。金沢からなら、2−3時間もあれば、北アルプスの主要な峰々の登り口に到達する。そして、虎ファン。現、金沢大学がん進展制御研究所教授、内科医。研究の話は、HPで。 http://omb.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html

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